福山市へセルロースファイバー断熱の施工に行ってきました。
こちらでは先に壁の施工をさせていただいていました。
いつも、デコスシートを張って吹込みして帰ります。なのでその上に胴縁が取付してあるのをあまり見ることがないのでちょっと嬉しくなり写真を撮ってしまいました。
この胴縁の上に大工さんがボードを張られます。その上に壁のクロスを貼って完成です。
こちらのお家では結露計算を行った所、室内側に防湿シートの設置しなくても結露の心配が無いので防湿層省略しております。(調湿を妨げるのでなるべく省略するように壁の面材を透湿性の良いものを使ってもらっています。)
防湿シートとはビニールシートだと思ってください。
当然湿気を通過させないシートなのですが、夏場に少し困ったことを引き起こす原因となります。
”夏型結露”
通常、結露判定は冬に壁の中で結露が起こるか判断するために使います。
冬は室内の湿度の量が多く、屋外が少ないので
室内から屋外へ向けて移動しようとします。ですからビニールシートを壁に貼って、壁内に水蒸気が入らないように設置します。
しかし、広島県のような蒸暑地は夏場は蒸し暑く湿気の量が多いので
室内をエアコンで低い温度・湿度にした場合、屋外の水蒸気が室内へ移動しようとするため、移動の途中にビニールシートにぶち当たり、通過できないので結露してしまう現象が起きます。ただ、長い時間結露状態ではなく、比較的短い時間の為、あまり考慮しなくても良い、とされていました。
しかし、最近の夏の暑さが増し、室内との温度差が大きくなっており、見過ごせない状況となっています。
実際、結露で水が室内に発生したり、カビが発生した事例もあるようです。
我々が施工しているセルロースファイバーは木の繊維の為、木と同じように湿度を蓄える事が出来る素材。木は水(水蒸気)を乾いた状態で蓄えることが出来ます。例えば木の含水率20%という表現をしますが木の重量の2割の水蒸気を蓄えている、状態
木は30%の水蒸気を乾いた状態で蓄えることができるので、セルロースファイバーも同じことがいえるかと考えれます。木材の成分は繊維のセルロースと油分のリグニンで半分づつなので、セルロースだけの状態だと60%の水蒸気を蓄えることができるのでは、という考えもあります。
それだけ大きな蓄湿容量があるので、調湿性能を発揮できます。
ただ、結露計算には蓄湿は考慮しない為、セルロースの中を水蒸気が通り抜ける想定で計算されています。
山陽木材では約25年前からセルロースを採用していますが、結露被害が起きたことはありません。
昔は防湿層が無く、面材が合板という構成が多く 計算ではNG(結露発生)となる壁でも実際には結露が起きたことはありません。
このメカニズムが解明されれば、現在の夏に乾燥している北日本型の高気密高断熱でなく西日本型の家の作り方が確立されるのでは、と期待しますが、なかなか難しいでしょうね。
今日はこの天井の上にもセルロースファイバーを敷き詰めます。
吹きこぼし前の状態です。天井の板が見えます。この上に160mmの厚さになる様に施工します。
施工後。空気と一緒にセルロースファイバーを敷き詰めるので200mm以上を吹きこぼしします。空気がだんだん抜けて落ち着いてきたら160mm程になります。これはまだもりもりの状態です。
冬には暖房で暖かくなった空気が断熱材でせき止められて部屋から出て行きません。
夏は屋根からの暑さが部屋に入って来ないので涼しく暮らして行くことが出来ます。
セルロースファイバー断熱の採用、ありがとうございました!